2022年の16代目クラウンは、この車名の歴史で最も大きな転換でした。セダンだけの車ではなくなったからです。クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステート。同じクラウンの名前で、成り立ちの違う4つの車型が展開されています。
だから中古で探すときの最初の作業は、程度の比較ではありません。どの車型のクラウンが欲しいのかを決めることです。
念のため確認しておくと、S230系は2022年7月に発表され、クロスオーバーから順に発売されました。パワートレーンはHEVが中心で、スポーツにはPHEV、セダンにはFCEVの設定があります。全車が電動化されているのも、この世代の特徴です。
4つの車型は、別の車と考える
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補足すると、この4つは車体の骨格から違います。クロスオーバーとスポーツは全高もタイヤも別、セダンはホイールベースが長く後席を優先、エステートはラゲッジ優先。「クラウンの中でグレードを選ぶ」感覚ではなく、「4車種の中から1台選ぶ」感覚が近いと考えてください。
クロスオーバーは最初に登場した車型で、玉数も最も多い。セダンとSUVの中間という独特の姿勢で、実際に乗ると背の高さが素直に効いてきます。
スポーツは最も走りに振った車型で、外観も別物です。PHEVの設定があり、動力性能の面では上位に来ます。
セダンは、従来のクラウン像に最も近い車型です。FCEV(燃料電池)とHEVが用意され、後席の快適性を重視した設計になっています。
エステートはワゴン型で、いちばん後から出た車型です。
つまり中古市場で「クラウン S230系」と検索して並ぶ個体は、用途も価格も別物が混ざっています。 車型を決めずに探すと、比較のしようがありません。
中古車サイトで探すときは、グレード名だけでなく車型まで指定して絞り込んでください。「クラウン」で検索すると、S210系以前の個体まで混ざります。年式を2022年以降にするのが確実です。
まだ新しい車として見るべきこと
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加えて、この世代は納期が長く、受注状況によっては新車がすぐ手に入りません。中古を検討する最大の理由が「待たなくていい」ことになる場合もあります。待ち時間に価値を置くかどうかで、中古の割高さの評価が変わります。
2022年以降の車なので、持病を探す段階ではありません。見るべきは書類です。
メーカー保証の残存。 初度登録から数年の個体なら、一般保証・特別保証が残っている可能性があります。ハイブリッドのユニットに関わる保証は特に重要で、残っているかどうかで安心感がまるで違います。継承手続きの可否と費用も確認してください。
リコール・サービスキャンペーンの実施状況。 新しい車ほど、対策の消化状況が中古選びの中心になります。車台番号でトヨタの公式サイトから確認できますし、販売店にも聞けます。
装備とオプション。 この世代は先進安全装備や運転支援の設定が細かく分かれます。同じグレード名でも、装着オプションで価格が変わります。何が付いているかを確認してください。
特に確認したいのは、先進安全装備の世代とディスプレイオーディオの仕様です。同じ年式でも、オプションの有無で使い勝手が変わります。コネクテッドサービスの契約状況も、中古で引き継げるかを販売店に聞いておきましょう。
ハイブリッドとPHEV、そしてFCEV

S230系は、パワートレーンの選択肢が広いのも特徴です。
FCEVについて補足すると、水素ステーションは都市部に偏在しており、地方では現実的に使えない場面があります。中古価格が安く見えても、それは需要が限られている結果です。安さの理由が、そのまま使いにくさの理由になっている構図を理解しておいてください。
HEVが中心で、玉数も多く、整備先にも困りません。PHEV(スポーツ)は充電環境が前提になるため、自宅で充電できるかを先に考えてください。FCEV(セダン)は水素ステーションの分布に左右されるため、住んでいる地域で現実的かどうかが決定的です。
中古で安く出ていても、インフラが合わなければ使えません。 これは車の良し悪しではなく、生活環境との相性の問題です。
逆に言えば、HEVを選べばこの問題は起きません。玉数も最も多く、整備先にも困らない。迷ったらHEVというのが、この世代では素直な結論です。
現車確認で見るべきポイント

- 車型:クロスオーバー/スポーツ/セダン/エステート。まずここを決める
- メーカー保証の残存と継承:初度登録日、走行距離、手続きの費用負担
- リコール・サービスキャンペーン:車台番号で実施状況を確認
- パワートレーン:HEV/PHEV/FCEV。自宅の充電環境、水素ステーションの有無
- 装備:運転支援、内装、ホイール。同グレードでも差が出る
- タイヤ:大径サイズは交換費用が高い。残溝を見る
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人
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維持費については、2.5LのHEVで自動車税は4万5000円の区分。燃費は良く、ガソリン代の負担は車格のわりに小さい。ただしタイヤは大径で、交換費用は相応にかかります。
試乗では、電動化の恩恵がどう出るかを確かめてください。発進の滑らかさ、モーターとエンジンの切り替わり、そして減速時の回生の効き方。S230系の完成度は、この繋ぎ目の自然さに出ます。
加えて、クロスオーバーは背が高いぶん、立体駐車場の制限に引っかかることがあります。契約前に自宅と職場の駐車場を確認してください。
向いている人は、クラウンという名前にこだわらず、車型で選べる人です。S230系はそれぞれの車型が別の目的で作られており、用途が合えば非常に完成度が高い。新車より安く、保証が残る個体を選べるなら合理的です。
やめた方がよい人は、従来型のクラウンを求める人です。「いつかはクラウン」の文脈で探すと、この世代は違和感が残ります。その場合はS210系以前を検討したほうが満足度は高いでしょう。
結局、S230系の中古は買いなのか
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買ったあと最初にやることも書いておきます。まず保証継承の手続きが済んでいるかを確認し、コネクテッドサービスの契約者情報を自分に切り替える。次にタイヤの製造年週を見て、古ければ早めに交換計画を立てる。新しい車ほど、機械より契約や設定の引き継ぎが手間になります。
車型が用途に合っていて、保証が残っていて、リコールが消化されているなら買いです。 まだ新しいぶん、程度より条件で選べます。
S230系は、トヨタが「いつかはクラウン」という物語を自分から壊した世代でした。壊したあとに何を作ったのかは、実際に乗ってみないと分かりません。

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