E 50/E 55 AMG(W210)の中古車ガイド【この世代は、まず錆を見る】

メルセデス Eクラス(W210)

W210は、AMGがメルセデスの正規メニューに載った最初のEクラスです。E 50 AMG、そして工場ラインで組まれるようになったE 55 AMG。「速いメルセデス」が特注ではなく商品になった世代でした。

そして中古で買うとき、最初に見るべきはエンジンでも足まわりでもありません。錆です。

構成を確認しておきます。E 50 AMGは5.0LのV8、E 55 AMGは5.4LのV8で、いずれもM113系。変速機は5速ATの722.6型、駆動は後輪です。W203のC55 AMGと同系統のエンジンを、一回り大きな車体に積んだ関係になります。

W210は、錆に弱い世代として知られている

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国内の個体では、ワゴン(S210)のリアゲート周辺やルーフレールの取り付け部も要注意です。セダンより雨水の経路が複雑なぶん、溜まる場所が増えます。

確認するときは、指で押してみるのが有効です。塗装の下で錆が進行していると、パネルが波打ったり、押した感触が柔らかかったりします。ドアの下端は、内側から手を入れて水抜き穴が詰まっていないかも見ておいてください。詰まっていれば、そこから錆が始まります。

メルセデスは1990年代後半、環境規制への対応として塗装を油性から水性へ切り替えました。W210はちょうどその時期にあたり、塗装が薄く、下地の処理にも問題があったと海外のオーナーコミュニティで長く指摘されてきました。パネルの下に湿気が閉じ込められ、内側から錆が進行するというものです。

出やすい場所も、ある程度共通しています。

  • ドアの下端とフェンダー
  • リアウィンドウの周辺、トランクリッドの縁
  • ドアモールの下(水が溜まり、上端から錆びる)
  • エンジン前方のクロスメンバー(水が溜まる構造)

年式による差も語られます。2000年以降の個体のほうが対策が進んでいるとされ、初期〜中期の個体は特に慎重に見る必要があります。中古で選ぶなら、この点だけで年式を絞る価値があります。

日本国内の個体は、欧州ほど融雪剤にさらされていないぶん有利な面もあります。ただし海沿いでの保管や、屋外駐車が長かった個体は同じように進行します。年式だけでなく、どこでどう保管されてきたかを聞いてください。

電装とATの定番

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加えて、この年代のメルセデスはエアサスや電子制御サスペンションを持つグレードがあります。装着車なら、車高が正常に保たれているか、一晩置いて沈んでいないかを確認してください。足まわりの電子制御は、直すと高くつく部類です。

内装では、天井の生地の垂れ、ウッドパネルの浮き、シートの電動調整の動作を見ておきましょう。どれも快適性に直結する部分で、直すと手間がかかります。

エアマスセンサーとクランクセンサー。 どちらもこの世代で名前の挙がる部品です。アイドリングの不調、始動不良、加速時の息つきとして出ます。

ATのアダプタープラグからのオイル漏れ。 変速機側のコネクタ部からATFが漏れ、配線を伝って制御側へ回り込むことがあります。W203のAMGでも同じ系統の話があり、メルセデスのこの年代に共通する弱点です。

コネクタの接触不良。 電子制御が増え始めた時期の車で、センサーやコネクタの接触不良が複数の警告灯として現れることがあります。警告灯が出ている個体は、原因がひとつとは限りません。

診断機で読める故障コードは、あくまで結果です。コードが複数出ている場合、共通の原因(アース不良や電源系の劣化)が隠れていることがあります。購入前にメルセデスを見慣れた工場で診断してもらえるなら、その費用は安い保険です。

リアウィンドウがドア内に落ちる。 後席の窓を操作した際にガラスが落ちるという、この世代特有の症状が報告されています。使用頻度が低い個体ほど、確認しておいたほうがいい部分です。

M112/M113のオイル滲み。 V6のM112、V8のM113ともに、年式相応のオイル滲みが出ます。E 50/E 55 AMGはM113系ですから、エンジン下部とヘッドカバー周辺を見てください。

現車確認で見るべきポイント

メルセデス Eクラス(W210)
画像:Manoj Prasad from Kuala Lumpur, Malaysia/CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons
  • :ドア下端、フェンダー、リアウィンドウ周辺、トランクリッド縁、ドアモール下、フロントのクロスメンバー。最優先
  • 年式:2000年以降か。初期・中期なら錆の確認をさらに厳しく
  • 警告灯の履歴:エアマス、クランクセンサー、その他の電装
  • AT:変速の質、アダプタープラグ周辺のATF漏れ
  • 後席の窓:上げ下げして、異音や落下の兆候がないか
  • エンジン:M113のオイル滲み、始動性、アイドリング
  • 記録簿:この年代の輸入車は、整備の履歴がそのまま価値になる

この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

メルセデス Eクラス(W210)
画像:TTTNIS/Public domain(Wikimedia Commons

向いている人は、AMGが量産化していく過程そのものに興味がある人です。E 50 AMGは正規メニュー入りの象徴、E 55 AMGは工場生産の始まり。この2台は、AMGの歴史の分岐点に立っています。

購入後に最初にやることも決めておくといいでしょう。まず錆の進行を止める処置(下回りの防錆施工)、次に冷却系とゴム類の点検。W210では、買ってすぐの防錆処置が最も費用対効果の高い投資です。

維持費としては、5.0L・5.4Lともに自動車税の上位区分。実燃費は街乗りで5km/L前後を見ておくのが安全です。タイヤも大径で、交換のたびにまとまった額が飛びます。車両価格が安いことと、維持費が安いことはまったく別という典型例です。

この2台は台数も限られており、程度の良い個体は年々減っています。W203のAMGと比べても、Eクラスのほうが車格のぶん内装の質感が高く、長距離での快適性に差があります。同じ予算ならどちらを選ぶかは、使い方次第です。

そして錆と電装を許容できる人。直せる工場のあてがあるなら、いまの相場は破格です。

やめた方がよい人は、外装の程度にこだわる人です。W210で錆のない個体を探すのは簡単ではなく、見つかっても価格に反映されています。安い個体は、たいてい錆が理由です。

結局、W210のAMGは買いなのか

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補足として、同じ時期のC32/C55(W203)と迷うなら、車格と内装の質感でEクラスが上、機動性と維持費でCクラスが上、という整理になります。長距離を走るならW210、街中中心ならW203のほうが扱いやすいでしょう。

錆が軽く、できれば2000年以降で、記録が残っている個体なら買いです。 逆に、錆の確認をせずに価格だけで選ぶと、修理費が車両価格を大きく超えます。

W210のAMGは、いま最も安く買える「本物のAMG」のひとつです。その安さの理由を、全部知ったうえで選んでください。

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