3.7LのV6、VQ37VHR。ショートホイールベース化された車体。そして6速MTのシンクロレブコントロール。Z34は、Zが「身軽さ」を取り戻した世代です。
そして中古市場では、いま最も価格が下がっている世代でもあります。タマ数が多く、登場から17年近くが過ぎたからです。
だからこそ、選び方には注意が要ります。この車の不具合は、走行距離ではなく経過年数で進みます。
構成を確認しておきます。エンジンは3.7LのV6自然吸気、VQ37VHR型で336馬力。変速機は6速MT(シンクロレブコントロール付き)と7速AT。Z33からホイールベースを短縮し、車体の切り返しを軽くしたのがこの世代の狙いでした。
走行距離が少ない個体ほど安心、とは限らない
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Z34で報告されるトラブルの多くは、ゴム類、電装、油脂系といった「時間で劣化するもの」です。冷却系のホース、各種シール、オルタネーター、エアコンのコンプレッサー。どれも走らせていなくても年数で進みます。
むしろ長期間動かしていなかった個体のほうが、ゴム類の硬化やブレーキの固着、燃料系の劣化が出ていることがあります。走行距離3万kmの17年落ちと、走行距離8万kmで毎年整備されてきた個体なら、後者のほうが安全という場面は普通にあります。
見るべきは距離ではなく、記録簿です。
具体的には、直近3年でどれだけ整備されているかを見てください。オイル交換の間隔、冷却水の交換、ブレーキフルード、そして足まわりのブッシュ。17年落ちのスポーツカーで、この4つに手が入っていない個体は、価格が安くても購入後に同額近い出費が来ます。
この世代で名前の挙がるトラブル
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これらは同時に来るわけではありませんが、17年落ちという年式を考えると、購入後3年のあいだにいくつかが順番に来ると考えるのが現実的です。年間10万円前後の整備費を織り込んでおけば、慌てずに済みます。
ステアリングロックの不具合。 キー警告灯が点いてエンジンが始動できなくなる、という症状が比較的よく報告されます。出先で動かせなくなるタイプの故障なので、購入前に始動を何度か繰り返して確認しておきたい部分です。
オルタネーター。 発電時にかなりの熱を持つ部品で、経年劣化は避けられません。警告灯の点灯履歴、アイドリング時の電圧、始動時のセルの回り方を見てください。
エアコンのコンプレッサー。 焼き付きや異音が出ると修理費がまとまった額になります。試乗では必ず最大冷房を入れ、コンプレッサーの作動音と冷えるまでの時間を確認しましょう。
MT車のクラッチ油圧系統。 Z34のMT車では、クラッチの油圧系統が排気管の近くを通る構造で、熱でクラッチフルードが沸騰し、ペダルを踏んでも戻らなくなるという症状が報告されています。サーキットや渋滞など、熱が入る状況で起きやすい。中古で買うなら、対策品や断熱処理が施されているかを確認しておくと安心です。
症状の出方も知っておくと役に立ちます。渋滞やサーキット走行のあと、クラッチペダルが戻りにくくなる、あるいは繋がる位置が変わる。これは油圧系統に熱が入ったサインです。試乗の最後、エンジンが十分に温まった状態でもう一度クラッチを踏んでみるのが、確認としては有効です。
エンジン内部のスラッジ。 VQ37VHR自体は頑丈ですが、オイル交換を怠った個体では内部にスラッジが溜まります。オイルフィラーキャップの裏を覗いて、汚れ具合を確認してください。
冷却系のゴム類を先に疑う

Z34を長く乗っている人の間では、「エンジン本体より水回りのゴム類を先に疑え」という言い方をされます。ホースの硬化やクランプの緩みから冷却水が抜け、気づかないまま水温が上がる。この流れが、結果的にエンジンへのダメージにつながります。
中古で買ったら、まず冷却系のホース類とサーモスタットを予防交換するくらいの考え方が、この年式では現実的です。購入予算に整備費を足して考えてください。
予防交換の考え方としては、ラジエターホース、サーモスタット、ウォーターポンプ、そしてリザーバータンクのキャップまでを一度に見てもらうのが効率的です。個別に壊れるたびに工場へ持ち込むより、まとめたほうが工賃も時間も節約できます。
逆に、ここは安心していい
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社外パーツの豊富さも実利です。マフラー、サスペンション、ブレーキ、外装まで選択肢があり、しかも中古市場に出回っています。純正部品が出なくなっても、走らせ続ける手段が残る車です。
VQ37VHRの素性。 自然吸気の3.7L V6は、過給機を持たないぶん熱と圧力の面で余裕があります。オイル管理さえまともなら、距離が伸びても大きく崩れるユニットではありません。
部品供給。 販売台数が多く、日産の他車と共通する部品も多いため、消耗品で困ることは少ないでしょう。社外パーツも豊富です。
価格。 これは弱点の裏返しですが、同じ動力性能を他で買おうとすれば桁が変わります。整備費を織り込んでも、走りに対する総額は安く収まります。
現車確認で見るべきポイント

- 記録簿:走行距離より重要。オイルと冷却系の交換履歴を最優先で見る
- 始動:何度か繰り返して、ステアリングロック関連の症状が出ないか
- 充電系:アイドリング時の電圧、警告灯の履歴
- エアコン:最大冷房での作動音と冷え
- 冷却系:ホースの硬化、リザーバーの液量と色、漏れ跡
- MT車のクラッチ:熱が入った状態でのペダルの戻り、対策の有無
- エンジン内部:オイルフィラーキャップ裏のスラッジ
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

向いている人は、自然吸気V6の大排気量を、いまのうちに体験しておきたい人です。3.7Lで6速MT、しかも後輪駆動。この構成の新車はもう買えません。整備費を織り込めるなら、価格対体験の比率は極めて高い。
置き場所についても触れておきます。全幅1,845mmは、日本の機械式駐車場に入らないことがあります。契約前に自宅と職場の駐車場の制限を確認しておいてください。買ってから気づくと、面倒なことになります。
試乗では、必ず高速域まで試させてもらってください。Z34はホイールベースを短くしたぶん、直進時の落ち着きと、轍でのハンドルの取られ方に個体差が出ます。足まわりのブッシュが抜けている個体は、ここではっきり分かります。
MT車なら、シンクロレブコントロールの作動も確認してください。シフトダウン時に自動で回転を合わせる機構で、これが正常に働くかどうかは試乗しないと判断できません。
やめた方がよい人は、購入費だけで予算を使い切る人です。17年落ちのスポーツカーは、買った後に必ず費用がかかります。安い個体ほどその傾向が強い。
結局、Z34の中古は買いなのか
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記録簿があり、冷却系と電装に手が入っている個体なら買いです。 タマ数が多いので、条件を妥協する必要はありません。
Z34は、Z33で重くなった車体を切り詰め、もう一度Zを軽く見せた世代でした。大排気量の自然吸気とMTという組み合わせが、まだ普通に買える最後の時期かもしれません。

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