WRX S4(VBH)の中古車ガイド【新しい車を中古で買うときに見るところ】

WRX S4 STI Sport R EX(VBH)

2021年11月に登場したVBH型WRX S4は、中古車としてはまだ新しい世代です。だから、この記事で書くべきことは他の車と違います。

持病を探す段階ではありません。 いま見るべきは、リコールが消化されているか、メーカー保証がどれだけ残っているか、そしてグレードによる中身の差です。

中身を先に押さえておきます。エンジンはFA24型2.4L直噴ターボで275馬力・375N・m、駆動は左右対称のAWD、変速機はスバルパフォーマンストランスミッション(SPT)と呼ばれるCVT。骨格はスバルグローバルプラットフォームにフルインナーフレーム構造を組み合わせています。先代VAG型とは、車名以外にほぼ共通点がありません。

まず、先代VAG型の情報と混ぜないこと

WRX S4 VBH
画像:Tokumeigakarinoaoshima/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons

WRX S4を調べると、「A型のCVTに初期不具合がある」「C型以降が無難」といった情報が出てきます。これは先代のVAG型(2014〜2021年)の話であって、VBH型のことではありません。

VBH型は型式も骨格もエンジンも別物です。FA24型2.4L直噴ターボ、スバルグローバルプラットフォームにフルインナーフレーム構造、そしてスバルパフォーマンストランスミッション(SPT)と呼ばれる新しいCVT。先代と共通しているのは車名だけと言っていい世代です。

中古を探すときに世代を混同すると、見なくていい心配をして、見るべきものを見落とします。まず「VAGかVBHか」を分けてください。

見分け方は簡単です。車検証の型式が「5BA-VBH」ならこの世代。年式で言えば2021年11月以降の登録です。中古車サイトの掲載名は曖昧なことがあるので、型式で確認するのが確実です。

リコールと保証を、車台番号で確認する

WRX S4 VBH
画像:Tokumeigakarinoaoshima/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons

VBH型は登場から数年のあいだに、複数のリコールとサービスキャンペーンの対象になっています。運転支援装置のカメラの画像認識プログラムに関するサービスキャンペーン(2022年5月届け出、5BA-VBHの一部が対象)や、2024年1月に届け出された低圧燃料ポンプのリコールなどです。

新しい車ほど、ここが購入判断の中心になります。中古車としての程度を見る前に、対策が済んでいるかを確認してください。 スバルの公式サイトには車台番号で対象と対応状況を調べられる仕組みがあり、販売店にも確認できます。

同時に見ておきたいのがメーカー保証です。一般保証は3年6万km、特別保証は5年10万kmが基本で、初度登録から数年の個体ならまだ保証が生きている可能性があります。保証継承の手続きがされるか、費用はどちらが負担するかは、購入前に決めておいたほうがいいでしょう。この一点で、同価格帯の他の中古車より有利になり得ます。

加えて、スバルの認定中古車として販売されている個体なら、点検整備と保証がセットになります。同じVBHでも、認定中古車とそれ以外では価格差がありますが、その差は保証の価値とほぼ釣り合うことが多い。まだ新しい高出力ターボ車で保証が切れている個体を、あえて選ぶ理由は多くありません。

グレードで中身が変わる

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中古で選ぶときの実務的な順番としては、まず車型と年式を決め、次に電子制御ダンパーの有無、そのあとで色と装備、という順になります。VBHはまだ玉数がそこまで多くないので、条件を増やすほど選べなくなります。

VBH型で最も走りに差が出るのは、電子制御ダンパーの有無です。最上位のSTI Sport R EXにはSTIがチューニングに関与したZF製の電子制御ダンパーが備わり、ドライブモードセレクトでダンパーの減衰力、ステアリング特性、AWDのトルク配分、CVTの制御をまとめて切り替えられます。

これは装備の差というより、乗り味そのものの差です。試乗できるなら、両方に乗ってから決める価値があります。中古価格の差も、この装備が理由の大部分を占めます。

グレード構成としては、GT-H EX、STI Sport R EXといった呼び名が使われます。装備の差は電子制御ダンパーだけでなく、内装の素材、シート、ホイールにも及びます。中古で「同じVBHなのに価格が違う」と感じたら、まずこの装備差を確認してください。

そしてもうひとつ、外装色と内装色の組み合わせで人気に差が出ます。玉数が限られる時期は、色で妥協するかどうかが購入時期を左右します。

もうひとつ、アイサイトXの搭載有無とナビ連携の仕様も確認してください。VBH型はスバルのスポーツセダンとして初めてアイサイトXを標準装備した世代ですが、グレードやオプションで機能範囲が変わります。

中古として見たときの弱点らしい弱点

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加えて、この世代は先進安全装備が全車標準です。フロントガラスを交換した履歴がある個体では、アイサイトのエーミング(光軸と認識の調整)が正しく行われているかを確認してください。未実施だと、運転支援が正しく働きません。

樹脂製フェンダー。 VBH型のデザイン上の特徴であるクラッディング部分は樹脂製です。金属と違って錆びない一方で、経年で白っぽくボケてくることが考えられます。まだ年数が浅いので実例は多くありませんが、屋外保管の個体では確認しておきたい部分です。気になる場合は塗装するという選択肢もあります。

CVTをどう捉えるか。 VBH型にMTの設定はありません。SPTはステップ変速制御を含めてスポーツ走行を想定した作りですが、「STIの代わり」を期待して乗ると違和感が残る可能性があります。これは故障の話ではなく、期待値の問題です。中古で買う前に必ず試乗してください。

試乗するときは、モードを切り替えながら走ってみてください。SPTはステップ変速の制御を持ち、モードによって性格が変わります。「CVTだから」と一括りにして判断すると、この車の設計意図を見誤ります。

電動パーキングブレーキ。 近年の車全般に言えることですが、機構が電動化されているぶん、モーター側の不具合が起きると解除できなくなるリスクがあります。試乗時に確実に作動・解除するか確かめておきましょう。

現車確認で見るべきポイント

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試乗では、SPTのステップ変速制御を確かめてください。アクセルを深く踏んだときに回転がひと続きに上がるのか、段を刻むのか。ここがCVTに対する印象を決めます。「CVTだから嫌だ」と決めつける前に、一度乗ってから判断してください。

  • リコール・サービスキャンペーンの消化状況:車台番号で確認。未実施なら購入前に対応を依頼する
  • メーカー保証の残存と継承:初度登録日と走行距離。継承手続きの可否と費用負担
  • グレード:STI Sport R EXか否か。電子制御ダンパーの作動をモード切り替えで確認
  • アイサイトの作動:警告灯、カメラまわりの状態、フロントガラス交換歴(交換時はエーミングが必要)
  • 樹脂部分:クラッディングの色ヤケ、傷
  • タイヤ:純正サイズは太く高価。残溝が少なければ購入直後に出費
  • 電動パーキングブレーキ:作動と解除

この車に手を出してよい人、やめた方がよい人

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維持費の目安も書いておきます。2.4Lで自動車税は4万3500円の区分、実燃費は街乗り8〜10km/L程度でハイオク指定。タイヤは19インチで交換費用は安くありません。ただし、この動力性能と装備を新車で買う場合と比べれば、中古の価格差のほうがはるかに大きい。

向いている人は、速さと快適さと安全装備を一台で成立させたい人です。VBH型は「STIがない前提で設計されたスポーツセダン」であり、その割り切りのぶん、日常性能とアイサイトXの完成度が高い。新車より安く、保証が残る個体を選べるなら、コストパフォーマンスは高いと言えます。

やめた方がよい人は、MTでなければ嫌な人です。ここは設計上どうにもなりません。素直に先代のVAB型STI、あるいはGRB/GVBを探したほうが幸せです。

結局、VBHの中古は買いなのか

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リコールが消化済みで、保証が残っている個体なら買いです。 まだ新しい世代なので、程度の差より書類の差のほうが大きく効きます。逆に言えば、そこさえ確認できれば、中古で買うリスクは他の世代より明らかに低い。

STIという名前が消えた時代に、スバルがスポーツセダンとして出した答えがこの車です。その答えに納得できるかどうかは、カタログではなく試乗でしか分かりません。

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