2012年に登場したZN6型86は、トヨタとスバルが組んで作った後輪駆動のスポーツカーです。水平対向4気筒の2.0L、FA20型。200PS、車重1.2トン台、そして細いタイヤ。限界の高さではなく、限界の手前を楽しませる設計でした。
数字を確認しておきます。FA20型は2.0Lの水平対向4気筒で、直噴とポート噴射を併用するD-4Sを備えて200PS/7,000rpm、205N・m/6,400〜6,600rpm。変速機は6速MTと6速AT、駆動は後輪です。車重は1.2トン前後で、タイヤは215/45R17(グレードによる)。
中古市場では玉数が豊富で、価格帯も広い。だからこそ、見るべき点を知っているかどうかで結果が変わります。
まずバルブスプリングのリコール
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86/BRZには、エンジンの動弁機構の設計が不適切で、バルブスプリングに設計条件を超える荷重がかかるという内容のリコールが出ています。破損するとエンジンから異音が出て不調になり、走行中であればエンジンが停止するおそれがある、という深刻な内容です。
中古で買うなら、この対策が済んでいるかを車台番号で必ず確認してください。 対象であれば、ディーラーで実施記録が確認できます。
対策が済んでいれば問題ありません。逆に、未実施のまま流通している個体があれば、購入前に対応してもらうよう交渉してください。費用はメーカー負担です。
確認の手順としては、車検証の車台番号を控えてトヨタのリコール検索にかけるか、販売店に問い合わせるのが早い。実施済みなら整備記録に残ります。「対象外」なのか「未実施」なのかは、はっきり区別して確認してください。
直噴エンジン固有の宿題
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FA20は直噴とポート噴射を併用するエンジンで、直噴側には高圧のインジェクターが使われています。ここに、この車固有の注意点があります。
インジェクターのシール。 新品では白いシール材が、距離を重ねると炭化してボロボロになります。放置すると燃焼室側からの吹き返しや、始動性の悪化につながります。
VVTソレノイドからのオイル漏れ。 可変バルブタイミングを制御する部品からオイルが漏れ、最悪の場合ECUの破損につながるとも言われます。エンジンルームを覗いて、ソレモイド周辺の滲みを確認してください。
オイルポンプの劣化によるVVTの作動不良。 オイルの圧力が落ちると、可変バルブタイミングが正常に働かなくなります。アイドリングの不安定や、回転の伸びの鈍さとして出ます。
イグニッションコイル。 初期型では、コイルとインジェクターに起因するエンジン不調の報告があります。
これらはいずれも、オイル管理と年式に強く関係します。 記録簿でオイル交換の頻度を確認し、フィラーキャップの裏も見てください。
交換の間隔は、高回転を多用する車ほど短く見るべきです。サーキット走行歴があるなら、その前後で交換されているかを見てください。距離ではなく、どう使ってどう管理したかがすべてです。
駆動系とクラッチ
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ミッションの耐久性は、この車の弱点として挙げられることがあります。シフトタッチが変わってきたら要注意という言い方をされ、シンクロやベアリングの摩耗が疑われます。
また、ミッション付近からの異音は、クラッチのレリーズベアリングの劣化として語られます。試乗では、クラッチを踏んだ状態と離した状態で音が変わるかを確かめてください。
86はサーキットや峠で使われる個体が多く、駆動系の消耗は走行距離だけでは測れません。タイヤの摩耗パターン、ブレーキローターの状態、追加メーターの跡などから、使われ方を推測してください。
ドリフト用途で使われた個体は、リアタイヤの偏摩耗、デフの音、そして車体の歪みに出ることがあります。フロントのタイヤハウス内側や、ドアの建て付けを見て、修復歴として表示されていない修理の跡がないかを確認してください。
テールランプからの浸水

意外と知られていないのが、テールランプ内部のパッキンが劣化して雨水が入り込み、トランク内に水が溜まるというトラブルです。放置すればトランク内が錆びます。
現車確認では、トランクの内張りをめくって、スペアタイヤスペースやその周辺に水の跡や錆がないかを見てください。車の状態そのものより、前オーナーがこれに気づいていたかどうかが分かります。
前期と後期

ZN6は途中で改良を受けています。後期型ではエンジン制御やサスペンションの設定が見直され、内装や装備も更新されました。
中古では、後期型のほうが完成度が高いという評価が一般的です。ただし価格も上がります。前期型を選ぶ場合は、上に書いたリコールと直噴まわりの整備がどこまで済んでいるかを、より丁寧に確認してください。
現車確認で見るべきポイント
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- バルブスプリングのリコール実施記録:最優先。車台番号で確認
- エンジンルームのオイル滲み:VVTソレノイド周辺、ヘッドカバー
- アイドリングと吹け上がり:VVTの作動不良、失火の兆候
- クラッチとシフト:踏んだときの異音、シフトタッチ、繋がる位置
- トランク内の水と錆:内張りをめくって確認
- 使われ方:タイヤの偏摩耗、ブレーキローター、追加メーターや配線の跡
- 記録簿:オイル交換の頻度。高回転を使う車なので、ここが最重要
この車に手を出してよい人、やめた方がよい人
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向いている人は、後輪駆動の入口を安く手に入れたい人です。86はいまも中古市場に十分な数があり、部品も社外パーツも豊富。自分で手を入れながら乗るには、これ以上ない教材です。
やめた方がよい人は、速さそのものを求める人です。200PSという数字は、いまの基準では突出していません。この車の価値は、限界の低さと分かりやすさにあります。
維持費は国産スポーツとして標準的です。2.0Lで自動車税は3万9500円の区分、ハイオク指定で実燃費は街乗り10km/L前後。タイヤも17インチで、選択肢が多く価格も落ち着いています。
また、整備を後回しにしたい人にも向きません。直噴エンジンとVVTを持つ以上、オイル管理を怠れば確実に症状が出ます。
結局、ZN6の中古は買いなのか
https://kuruma-dna.com/alphard-30
リコールが済んでいて、記録簿があり、オイル管理がされてきた個体なら買いです。 玉数が多いので、条件を妥協する必要はありません。
86は、トヨタが「作らない理由」を捨てて出した後輪駆動でした。その最初の世代を、いまの価格で買えるのは悪い話ではありません。

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