コルベットとは

コルベットは、70年間ほぼ同じ答えを出し続けたクルマです。フロントに大排気量のV8を置き、後輪で押す。その一点だけは、どれだけ時代が変わっても動きませんでした。

そして最後に、一度だけその答えを捨てます。

始まりは1953年のC1でした。当時としては珍しいFRP、つまりガラス繊維強化樹脂のボディを使い、エンジンは直列6気筒、変速機は2速のオートマチックのみ。速さより「アメリカにもスポーツカーがある」と示すことが目的の一台でした。V8を積んで本物になるのは、1955年からです。

1963年のC2、通称スティングレイで性格が固まります。この世代でリアサスペンションが独立式になり、アメリカ車らしい直線番長から、曲がれるスポーツカーへ踏み出しました。1968年のC3は、コークボトルと呼ばれる抑揚のある造形で最も派手な世代になりましたが、途中から排出ガス規制と燃費規制に直撃されます。出力は落ち、それでも1982年まで作り続けられました。

反撃は1984年のC4からです。設計を一新し、1990年にはロータスと開発したDOHCのLT5型を積むZR-1を投入して、世界のスーパースポーツと同じ土俵に立ちます。1997年のC5では変速機を後軸側に移すトランスアクスル方式を採用し、前後重量配分を整えました。ここでコルベットは、力任せのクルマではなくなります。

2005年のC6は1962年以来のリトラクタブルヘッドライトをやめ、7.0LのLS7を積むZ06や638hpのZR1で頂点を更新しました。2014年のC7でスティングレイの名が復活し、フロントエンジンのコルベットはここで完成します。

そして2019年のC8。エンジンが運転席の後ろへ移りました。66年守ったフロントエンジンを、コルベットは自分から手放したわけです。以降はZ06の5.5L DOHCフラットプレーンV8や、前輪をモーターで駆動するE-Rayまで現れています。

C1からC8まで、8世代。コルベットの歴史は、アメリカが「安く速いスポーツカー」という理想をどこまで守り抜けるか試し続けた記録です。

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