ランサーエボリューションIV – CN9A 【変態技術で曲がる次世代のエボ】

ランサーエボリューションIVは、1996年8月に登場した四代目ランエボです。

三菱自動車の公式車史でも、この代からランサー自体がフルモデルチェンジを受けた「第2世代」に入ったことが示されており、エボIVはその新しい器に合わせて生まれた最初のエボでした。

つまりこれは、エボIIIの延長線上の小改良ではなく、プラットフォームごと更新して次の時代へ入ったランエボだったわけです。  

エボは既に勝てるクルマだった

エボIIIまででランエボは、4G63ターボ、4WD、年ごとの実戦フィードバックでかなり強いシリーズになっていました。

そして1996年WRCではエボIIIで5勝を挙げ、トミ・マキネンがドライバーズタイトルを獲得している。

そんな中で出てきたエボIVに求められたのは、初期エボの熟成ではなく、勝てることが分かったランエボを、もっと高い次元へ押し上げることでした。

「Active Yaw Control」 を世界初搭載

この世代を象徴するのは、やっぱりAYCです。

三菱公式は、AYC(Active Yaw Control)を「走行状況に応じて後輪左右のトルク差をコントロールし、車体に働くヨーモーメントを制御して旋回性能を向上するシステム」と説明しており、しかも1996年8月発売のランサーエボリューションIVに世界で初めて採用したと明記しています。

ここがエボIVの最大の意味で、ただグリップで曲がる四駆ではなく、電子制御で積極的に向きを変える四駆へ進化した。ランエボの文法が、ここで一段変わったんです。  

積極的に曲がる仕組み

だからエボIVは、単に速いだけじゃなく「曲がり方」が新しい。

それまでのランエボも十分速かったんですが、エボIVは後輪左右の駆動配分でヨーを作るという新しい答えを持ち込みました。

ラリーの現場では、速い四駆であるだけでは足りない。どれだけ早くノーズを向け、どれだけ早く次の加速に移れるかが効いてくる。

AYCはそこを狙い撃ちしていて、エボIVはランエボが「ハイテクで速い」方向へ本格的に舵を切った最初の一台でした。  

親の顔より見た4G63

心臓部は引き続き4G63です。

WRC 1997の三菱公式ページでは、エボIV競技車のスペックとして4G63 1,997ccターボ、290ps、50kg-mが示されています。

市販車と競技車をそのまま同列にはできないけれど、少なくともこの世代の4G63が、シリーズ初期よりさらに濃い戦闘力へ踏み込んでいたことははっきりしている。

つまりエボIVは、AYCみたいな新機構だけが目玉ではなく、4G63そのものもまだまだ主役であり続けていた世代です。  

ボディを新調したエボIV

しかもこの世代は、ボディそのものが新しくなっている。

第2世代ランサーをベースにしたエボIVは、I〜IIIの延長に見えて、土台はかなり違う。

新しいボディへ合わせて、メカも制御も刷新してくるからこそ、エボIVは「IV」というより「第二章の1作目」として見るとしっくりくる。

エボIIIまでの流れを一度畳んで、ここからランエボはより洗練され、より複雑で、より速い四駆になっていく。  

WRCでもいつも通り強い

実戦でも、エボIVはちゃんとその価値を証明しています。

三菱の1997年WRCページによれば、エボIVはモンテカルロ3位、スウェディッシュ3位、サファリ2位と序盤から安定して上位に入り、ポルトガル、カタルーニャ、アルゼンチン、1000湖で優勝。

結果としてトミー・マキネンは2年連続でドライバーズタイトルを防衛しました。

特にカタルーニャは、三菱にとって初のターマックラリー優勝だったと公式が説明していて、これがかなり大きい。

エボIVは、グラベル番長ではなく、オールラウンダーへ進化したランエボでもあったわけです。  

ターマックでも好成績を残した意味

このターマックでも勝てたという事実はかなり重いです。

三菱公式は、1997年カタルーニャでの優勝について「これが三菱自動車にとって初の舗装路ラリー優勝であり、ランサーエボリューションがあらゆる路面に対応できるオールラウンダーへ進化したことを明確に示した」と説明しています。

ここがエボIVの本質をかなりよく表している。エボIIIまでのランエボは「強いラリー車」だった。でもエボIVで、どこでも勝てるラリー車へ一段上がった。  

強すぎて何年も使われた

さらに1998年も、エボIVはまだ主役でした。

三菱の1998年WRCページによれば、この年から三菱はついにワークスマシン2台で全14戦フル参戦を開始し、開幕戦モンテカルロでも前年のチャンピオンカーであるグループA仕様ランサーエボリューションIVを投入しています。

そしてスウェディッシュ、サファリでなんと優勝を記録。

つまりエボIVは1997年だけの当たり車ではなく、翌年のフル参戦体制の基盤も支えた。本当に強いから翌年も使われたというのは、かなり説得力があります。  

元々強かったエボにAYCが加わった

4G63ターボ4WDという強い骨格に、AYCという新しい頭脳を載せたことです。4G63のパワー、4WDのトラクション、そしてAYCによる積極的な旋回制御。この組み合わせでエボIVは、ラリーだけの車からサーキットでも速い車として一歩抜けた。

ランエボが後年までずっと曲がる四駆として語られる土台は、ここで醸成されたものなのです。

エボIVのシリーズへの貢献  

だからエボIVは、シリーズの中でもかなり重要なモデルです。

エボI〜IIIは、毎年まっすぐ強くなっていく初期ランエボの物語でした。そこからエボIVで、ランエボは一度ステージを変えます。

フルモデルチェンジした新型ランサー、新しい制御思想、ターマック勝利、連続王座。こいつは単なる四代目じゃない。ランエボが“世界王者のハイテク四駆”へ本格進化した起点なんだと思います。  

まとめ

まとめると、ランサーエボリューションIVは、

初期エボを脱ぎ捨てて、ハイテクで曲がるランエボへ進化した第二世代の起点です。

AYCという革命、そしていつもの4G63、1997年WRCの4勝と連続タイトルはその証明。エボIIIまでが「ラリー直結の鋭い進化」なら、エボIVはそこに電子制御で勝ち方を増やした世代でした。  

次のエボVについても、ここからさらにブラッシュアップを重ねられて強化されることとなります。

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