ランサーエボリューションV – CP9A 【WRカーにグループAのまま殴り合う本気のエボ】

ランサーエボリューションVは、1998年1月に登場した五代目ランエボです。

三菱公式の車史では、1997年にFIAがより広範囲な改造を認めるWRカー規定を導入した中でも、三菱は従来のグループA参戦を継続し、「性能向上に必要な技術要件は量産車に盛り込む」という方針のもとでエボVを投入したとはっきり説明しています。

つまりエボVは、レギュレーションで不利になったグループAのまま、不利な条件ごと量産車ベースで勝ちに行くための回答だったわけです。  

今考えてもイカれているというか、三菱のランエボに対しての信頼が厚すぎて笑えますねこれ。

土俵が変わった結果の攻め仕様

エボIVでAYCを導入し、1997年にはトミ・マキネンが2年連続王者を獲得、さらに三菱は初のターマック勝利まで手にしていました。

そんな中で出てきたエボVに求められたのは、ただタイトル防衛をすることではありません。

WRカー時代でもまだグループAで戦えると証明することでした。

だからエボVは正常進化というより、勝利の条件が変わった中で、ランエボ側も明確に戦闘力を引き上げた世代なんです。  

三菱、鬼のワイドトレッド化

この世代を象徴するのは、やっぱりワイドトレッド化だ。

三菱公式は、エボVの主な強化点として「前後トレッドを大幅に拡大」したことを明記している。さらに英語版WRCの公式サイトでも、1998年カタルーニャで投入された新グループA仕様エボVの主な強化点は“wider track”だったと説明されている。

ここがすごくエボVらしい。電子制御だけで勝つんじゃなく、まず土台を広げて、もっと踏める、もっと曲がれる、もっと安定するクルマにした。見た目の迫力が増したのも、ちゃんと競技の必然から来ている。  

足回りも着実に強化

しかも足まわりもかなり本気になっています。

公式車史では、フロントに倒立式ストラットを採用し、タイヤも225/45ZR17へ拡大したとあります。ブレンボ製キャリパーまで採用され、制動性能も大幅に向上しました。

つまりエボVは、パワーだけ上げたモデルではありません。

ワイド化したボディに対し、タイヤ、足、ブレーキまで全部まとめて引き上げている。「速く走るための一式」が一気に太くなった世代だ。  

安心と信頼の4G63もしっかり進化

三菱公式によれば、ピストン軽量化やターボチャージャーのノズル面積拡大によって、最大トルクは38.0kg-mまで増大した。

エボVはトルクの強化が大きく、単純な最高出力の数字遊びというより、ラリーで実際に使う中間域や立ち上がりの強さまで含めて詰めてきた感じが強いです。

ワイド化した車体と足、そして太くなったトルクが噛み合うことで、エボVは「速いエボ」から「踏み切れるエボ」へ寄っていくこととなります。

見た目以上に強化された空力と冷却

三菱公式は、アルミ製フロントブリスターフェンダー、リアオーバーフェンダー、迎角調整式アルミ製リアスポイラーなどで、空力性能と冷却性能も改善したと説明しています。

だからエボVのワイドで厳つい見た目は、単なる演出じゃない。

WRカー相手にグループAで勝つため、必要なものがそのまま外観へ出てきた姿なんです。エボIIIで“ランエボ顔”が濃くなったなら、エボVでは「ランエボの本気顔」が完成した感じがありますね。  

毎度はしっかり結果を出すランエボ

1998年WRCでは、開幕からエボIVで戦い、スウェディッシュとサファリで優勝。その後、第5戦カタルーニャで新しいグループA仕様エボVがデビューし、マキネンはその初陣を3位でまとめたあと、第7戦アルゼンチンで3年連続優勝を達成しています。

さらにその年、トミー・マキネンは3年連続のドライバーズタイトルを獲得し、三菱は初のマニュファクチャラーズタイトルも手にした。つまりエボVは、見た目も中身も派手になっただけじゃなく、ちゃんと王座を決めたクルマでした。  

マニュファクチャラーズタイトルの獲得

この「三菱初のマニュファクチャラーズタイトル」はかなり重い。

ドライバーが速いだけでは取れないし、車が1台だけ当たっても届かない。チーム、車両、年間の総合力が揃って初めて獲れる。

エボVはその年のタイトルを通して、ランエボが単なる名物グレードじゃなく、三菱のラリー活動そのものを代表する勝利の量産車になったことを証明した。  

どんな土俵でも戦い抜けるエボ

AYC世代のランエボを、ワイドトレッドと足とブレーキと空力で本当に勝ち切れる形へ押し上げたことです。

ワイド化した土台、225タイヤ、倒立ストラット、ブレンボ、増したトルク、調整式リアスポイラー。どれか一つの飛び道具じゃない。

全部を同じ方向へ太らせたことで、WRカー時代のグループAでも戦い抜ける厚みを持ったのがエボVでした。  

「本気」のエボ

エボIVがハイテクで曲がる第二世代の起点なら、エボVはその技術を「勝つための体格」にまで広げた世代。ランエボが「曲がる四駆」として語られるだけでなく、「ワイドで厳つくて本当に速い四駆」として強烈な記号性を持ちはじめたのは、ここからだと思います。

まとめ

WRカー時代に、あえてグループAのまま殴り勝つためにワイド化した本気のエボです。

ワイドトレッドは土台の強化、ブレンボと17インチは武装、増えたトルクは実戦力、そして1998年のドライバーズ&マニュファクチャラーズ戴冠はその証明。

エボIVが革命なら、エボVはその革命をチャンピオン仕様に仕上げた世代でした。  

次のエボVIは、このエボVをベースに空力をさらにラリー特化で煮詰めた完成版となります。

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