コペン(LA400K)の中古車ガイド【屋根の音と付き合えますか?】

軽自動車で電動メタルトップのオープンカー。しかもFF・ターボ・5MT(またはCVT)で、トランクにゴルフバッグが入る。

こんな車、他にありません。

2014年に登場した2代目コペン・LA400Kは、ローブ、セロ、エクスプレイ、そしてGRスポーツと複数の顔を持ちながら、中身はすべて同じ骨格とエンジンを共有しています。

惹かれている人は多いはずです。

ただ、オープンカーである以上、普通の軽とは違う「気にすべきポイント」がいくつかあります。

致命的なものは少ないけれど、知らずに買うと地味にストレスが溜まる類のものが多い。

この記事では、そのあたりを正直に整理していきます。

まず警戒すべきは「屋根まわり」の宿命

LA400Kコペンの最大の個性は、約20秒で開閉する電動メタルトップです。これが最大の魅力であると同時に、中古で買うときに一番気を配るべきポイントでもあります。

まず、走行中に頭上から聞こえるカタカタ・ミシミシという異音。これはコペンオーナーの間では非常に有名な症状です。ルーフの内装パネルと外装パネル、あるいはルーフのリンクアーム同士が走行振動で当たったり擦れたりして音を出します。走行不能にはなりませんが、静かな道を走っていると頭上でずっと鳴り続けるので、精神的にかなり気になります。

ダイハツ側も認識しており、ルーフサイドの内装パネルにはリブ高さを改善した対策品が存在します。

ディーラーでもスポンジ追加などの異音対策は一般的なクレーム対応として定着しているようですね。

ただ、中古車の場合は前オーナーが対策済みかどうかで状態がまったく異なります。試乗時にルーフを閉めた状態で段差のある道を走り、頭上の音を確認するのは必須です。

もうひとつ、ルーフをオープンにしたときにトランク内に収納される屋根を受け止めるゴム製のクッション(ルーフステークッション)が、初期モデルでは削れてしまう不具合が報告されています。部品自体は安価に交換できますが、放置すると収納時にルーフパネルを傷つける可能性があるため、トランク内のゴムの状態は確認しておきたいところです。

年数が経つと怖い「エアコン」と「発電機」

LA400Kコペンで修理費が大きくなりやすいのが、エアコンのコンプレッサーです。(逆に言えば高くてもこの程度)

焼付きやガラガラという異音が出始めると、コンプレッサー本体だけでなく、霧吹きのノズルのような役割をするエキスパンションバルブや、フィルターの役割をするリキッドタンクなど関連部品もまとめて交換になるケースが多い。

部品代・工賃・ガス充填を合わせると10万〜20万円コースになることもあります。

特に夏場のトラブル報告が集中しており、オープンカーという性質上エアコンを酷使しがちなことも一因でしょう。中古車を見るときは、エアコンをMAXで回してみて冷えの強さ、異音の有無、コンプレッサーのクラッチの作動音をしっかり確認してください。

もうひとつの高額修理候補がオルタネーター(発電機)です。エンジンルーム内で高温にさらされ続ける部品なので、年数が経つと発電不良を起こしやすくなります。発電が弱ると走行中にバッテリーが上がって突然エンジンが止まる、という最悪のシナリオもあり得ます。リビルト品での交換でも5万円前後は覚悟が必要です。

どちらも「いつ壊れるか予測しにくい」タイプの故障なので、初期型(2014〜2017年式)の個体は特に注意が必要です。整備記録でこれらの交換履歴があれば、むしろ安心材料と捉えてよいでしょう。

小さいけれど印象を悪くする不具合たち

走行不能にはならないけれど、中古車として見たときに「うーん…」となりやすい症状がいくつかあります。

まず、イグニッションコイルの劣化。3気筒エンジンなので、1本でも弱ると振動が目立ちやすい構造です。完全に死ぬと露骨にエンジンがガタガタ震えますが、死にかけの状態だとアイドリング中にときどき微妙な振動が出る程度で、原因の特定に手間取ることがあります。コペン専門店では「よくある不具合」として扱われている症状です。部品代は1本数千円程度ですが、3本まとめて交換するのが定石です。

次に、ハイマウントストップランプの亀裂。2014年5月〜2017年1月製造の約19,000台を対象にリコールが出ています。温度変化でランプの溶着部に亀裂が入り、雨水が侵入して点灯しなくなるというもの。リコール対象車であれば無償交換されているはずですが、中古車の場合は対策済みかどうか確認しておくと安心です。

そして、内装パネルのベタつき・表面剥がれ。センターコンソールまわりの樹脂パネル表面が経年で剥がれ、黒いカスが太ももに付くという報告があります。走行には無関係ですが、見た目と触感の印象は確実に悪くなります。特に初期型で目立つ症状です。

さらに、オープンカーの宿命として雨漏りの予兆にも触れておきます。LA400Kはメタルトップなので幌車に比べれば水密性は高いのですが、ルーフまわりのウェザーストリップ(ゴムのシール材)は経年で硬化・劣化します。7〜9年目あたりから浸水が始まるケースが報告されており、特にトランクから室内への浸水は「コペンの代表的な雨漏り症例」として知られています。助手席下に水が溜まり、カーペットにカビが生えたり、フロアに錆が出たりすることもあります。

ウェザーストリップをすべて交換すると部品代だけで約7万5千円。日頃からラバー保護剤を塗布しておくことで寿命を延ばせますが、中古車を見る際はトランク内や助手席下のカーペットを持ち上げて、水染みや錆の痕跡がないかを必ず確認してください。

逆に、ここはかなり強い

弱点ばかり並べてきましたが、LA400Kコペンには安心して評価できるポイントもしっかりあります。

まず、ボディ骨格の「D-Frame」。初代コペンで指摘されていたオープンカーゆえの剛性不足を解消するために開発された新骨格構造で、フロント・サイド・リア・フロアを切れ目なく繋ぐことで、ルーフを開けた状態でもスポーツカーとして十分な剛性を確保しています。この骨格の出来の良さは、モータージャーナリストからも高く評価されています。経年で骨格がヘタるという話はほとんど聞かず、10年落ちでもボディのしっかり感が残っている個体が多いのは大きな安心材料です。

次に、エンジン(KF-VET)の基本的な信頼性。このエンジンはタントやムーヴなどダイハツの主力車種に幅広く搭載されている量産ターボエンジンです。

コペン専用の特殊なエンジンではないため、部品供給が豊富で整備ノウハウも広く共有されています。オイル管理さえまともにされていれば、エンジン本体が致命的に壊れるケースは少ないと言えます。

また、クラッチの大容量化も見逃せません。KF型エンジンでは1,300ccクラスのK3-VEと共用化されたクラッチが採用されており、軽自動車としてはかなり余裕のある設計です。MT車でもクラッチが極端に早く減るという話は目立ちません。

電動ルーフの開閉機構自体も、トラブルが起きやすいのはゴムシール類であって、油圧ポンプやリンク機構といったメカ部分は比較的丈夫です。ルーフの動作不良が出る場合も、多くはトランクリッドのスイッチや建付け調整で解決するケースが報告されています。

現車確認で見るべきポイント

LA400Kコペンの中古車を実際に見に行くとき、最低限チェックしたいポイントを整理しておきます。

まず、オイルフィラーキャップの裏側。キャップを外して裏を見たとき、ドロドロのヘドロ状スラッジが付着していたら、オイル管理が杜撰だった可能性が高い。ターボ車でこの状態は、エンジン焼付きやタービン故障のリスクを抱えています。逆にキャップ裏がきれいなら、前オーナーがちゃんと面倒を見ていた証拠になります。

次に、エアコンの冷え。エンジンをかけてエアコンを全開にし、しっかり冷風が出るか、コンプレッサーから異音がしないかを確認。夏場に壊れやすい部品なので、季節を問わず必ずチェックしてください。

ルーフの開閉動作も必ず実演してもらいましょう。途中で止まらないか、異音がしないか、閉めた後にガタつきがないか。閉めた状態で段差を走って頭上の音も確認。トランク内のルーフステークッションの削れ具合も見ておくとよいです。

助手席下とトランク内の水染み・錆。カーペットをめくれるなら持ち上げて、フロアに水の痕跡がないか確認。トランク内も同様です。カビ臭がする個体は要注意です。

最後に、カスタム車両の場合は純正部品の有無。LA400Kコペンはカスタムされた中古車が多く流通していますが、車検非対応のマフラーやヘッドライト加工がされていて、かつ純正部品が残っていない場合は後々苦労します。

これらを新品で揃えると得てして高額になりがちです。

結局、コペンLA400Kは買いなのか

結論から言います。オープンカーをカジュアルに楽しみたい方、とても買いです。

軽自動車で電動メタルトップのオープンカーという存在は、LA400Kコペン以外にありません。ライバルだったS660はすでに生産終了し、中古価格が高騰しています。コペンも2026年8月での生産終了が発表されており、今後さらに希少性が増していく可能性があります。

エンジンは量産ターボで部品供給に不安がなく、ボディ骨格は初代から大幅に進化しています。致命的な持病と呼べるほどの弱点はなく、注意すべきポイントはルーフ異音、エアコン、雨漏り予兆、外装部品の入手難といった「管理とメンテナンスで対処できる範囲」のものがほとんどです。

この車に手を出してよい人は、「屋根のカタカタ音を対策する気がある」「オープンカーのゴムシール類は消耗品だと割り切れる」「整備記録がしっかり残った個体を選べる」人です。GRスポーツやSグレードのビルシュタイン装着車は足まわりの満足度も高く、長く楽しめるでしょう。

逆にやめた方がよいのは、「買ったらノーメンテで乗りたい」「異音や小さな不具合が許せない」という人。

オープンカーである以上、普通の軽自動車よりは手がかかります。それを「面倒」と感じるか「愛着」と感じるかで、この車との付き合い方はまったく変わります。

屋根を開けて走る気持ちよさは、スペックシートには載りません。

でも、それこそがこの車の存在意義です。

弱点を知ったうえで「それでも欲しい」と思えたなら、LA400Kコペンはあなたの期待を裏切らない大事なお友達になるはずです。

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