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    メガーヌRS – MF4R2【メガーヌ初のRS】

    ――ホットハッチに“トルクステア殺し”を持ち込んだ張本人

    Mégane II R.S. -since 2004-

    2004年、ルノー・スポールが2代目メガーヌをベースに225 PS/300 Nmの2.0 L直4ターボをねじ込み誕生したのがRS 225。

    当時のFFは強烈なトルクステアが抱えモノでしたが、RSは新開発のダブルアクシスストラット(PerfoHub)で“ハンドルが暴れない”という革命を起こします。

    翌05年に更なる足回り硬化、タイヤ空気圧モニタ廃止などを施した「Cup」パッケージが追加され、06年にはF1二連覇記念で作られた“R26”(230 PS+機械式LSD)が発売されました。

    そして、極めつけは08年のR26.R。

    助手席エアバッグもリアシートも撤去、カーボンボンネット&ポリカ窓で-123 kgのダイエットを敢行し、ニュル北で8分17秒を叩き出してFF最速を名乗り上げました。 

    開発の背景

    2000年代前半、ルノーのラインアップはBセグメントにはクリオRS(それこそクリオV6もこの時期)など刺激的なフレンチホットが揃っていましたが、CセグメントはVWゴルフGTI一強となっていました。

    そこでルノー・スポールの開発陣は「ハンドリング命」を掲げ、ステア軸を分離したダブルアクシス・ストラットを新設計。

    パワートレーンには、後にメガーヌ3RSにて魔改造を施されるF4Rtを225馬力仕様で載せ、ゴルフGTIと差別化する戦略を採りました。

    なぜメガーヌ2RSはここまで速かったのか

    まずは新開発のサスペンション「PerfoHub」。

    ステア軸をハブと分離し、ドライブシャフトのキックバックをシャットアウト。

    結果として大トルクでも舵が乱れず、ブレーキングしながらでも安定して曲がれるようになりました。

    …とは書いたものの、やはり一番は限定モデルに施された魔改造でしょう。

    Cup/R26.Rの足スプリング・スタビ径アップに加え、Brembo4ポット&バイマテリアルRotorを奢り、サーキット熱ダレを防止。

    量より質の軽量化樹脂リアウインドウやカーボンボンネットなど高い位置にある重量物を削ぎ落とすことで、低重心化を達成しながら前後重量配分まで最適化。

    その結果、R26.Rは0-100 km/hを5.9 sで駆け抜け、同世代のシビックType R(FD2)をニュルで約13秒置き去りに。RSというバッジに絶対的速さのイメージを刻みました。 

    次世代メガーヌRSに継承されるハイテク<メカ思想

    「快適性とサーキット性能はトレードオフじゃない。理想的な減衰力ポイントは一本しかないから、可変ダンパーなんか要らないんだ」 

    開発責任者フィリップ・メレメ

    この思想は後のIII・IV型にも受け継がれ、一貫して“固定ダンパー主義”を貫くRSの流儀となります。

    主要諸元(R26.R 2008 欧州仕様)

    全長/幅/高 4228×1777×1437 mm

    ホイールベース 2625 mm

    車重 1230 kg(DIN)

    エンジン F4RT型 1998 cc 直4ターボ

    最高出力 230 PS/5500 rpm

    最大トルク 310 Nm/3000 rpm

    変速機 6速MT

    タイヤ 235/40R18(標準)または225/40R18 TOYO R888

    0-100 km/h 5.9 s

    メガーヌ 2RSの小ネタ

    • 英国Evo誌では「スーパーカー以外部門で最高位」獲得。 
    • フランス憲兵隊の追跡用高速隊にも採用(Cup仕様)。
    • 生産はスペイン・パレンシア→フランス・ディエップ(アルピーヌ工場)へ輸送してR.S.化。 

    FFの新時代を作り上げたメガーヌ 2RS

    メガーヌII R.S.は「FF=妥協」だった時代を終わらせ、ホットハッチに“走りの純度”を求める流れを決定づけた張本人。

    軽さと足と賢さで勝ち取った8分17秒は、ルノー・スポールの意地とユーモアの結晶です。次世代へバトンを託した今も、この伝説は語り継がれることでしょう。