カテゴリー: ランエボ

  • ランサーエボリューションII – CE9A 【勝利のための長い調律が始まった一台】

    ランサーエボリューションII – CE9A 【勝利のための長い調律が始まった一台】

    ランサーエボリューションIIは、1994年1月に登場した二代目ランエボです。

    三菱公式の車史ページでは、このモデルをはっきり「実戦経験をフィードバック」と表現しています。

    つまりエボIIは、単なる年次改良ではない。1993年にWRCへ投入したエボIの実戦データをすぐさま市販車と競技車へ反映し、よりラリーで勝ちやすい形へ進めたモデルだったわけです。

    エボIがすでに速かったからこその次の一手だった

    ここがエボIIの面白いところです。

    初代エボは、1993年のWRCデビュー年からモンテカルロ5位、サファリ2位、アクロポリス3位、RAC2位と、いきなり十分に戦えていました。

    しかも三菱公式は、1993年シーズン中盤にリアサスペンションや前後スタビライザー、4WDシステムを見直したことでハンドリングが著しく向上したと記しています。

    だからエボIIは、苦戦した車のテコ入れ版ではない。最初から戦えたエボを、さらに本気で勝たせにいくためのアップデートだったんです。

    「実戦経験のフィードバック」が核にある

    三菱の日本向け車史ページでは、エボIIは「『ランサーエボリューション』に、1993年のWRCに参戦した実戦経験をフィードバックして開発」したと明記されています。

    さらにその結果として、「エンジン出力アップのほか、ホイールベース延長やサスペンション・ホイールの変更などによって走行性能を向上」させたとも説明している。

    要するにエボIIは、見た目を少し直した二代目ではなく、前年の現場で見えた課題を、車体と足まわりとエンジン全部に反映した改良版なのです。

    エンジンはやはり4G63を続投

    心臓は引き続き4G63型2.0L DOHCインタークーラーターボです。

    そして三菱公式によれば、エボIIでは最高出力が260PSまで引き上げられた。初代エボIが250PSだったから、数字としては10PSアップ。

    ただしエボIIの価値は単純な馬力競争じゃない。

    4G63の伸びしろをちゃんと活かしつつ、ラリーでの扱いやすさと車体側の進化まで含めて、より速く走るための総合改良に持ち込んでいるのが重要です。

    ホイールベース延長が、エボIIの性格をかなりよく表している

    エボIIで象徴的なのがホイールベース延長です。

    三菱公式は、走行性能向上のための具体策としてホイールベース延長を挙げている。これはすごくエボIIらしい。

    エボIは小さく軽く鋭いことが最大の武器だったけれど、実戦ではただ敏捷なだけでは足りない。荒れた路面や高速域でも踏んでいける安定感が必要になります。

    エボIIはその点で、初代の鋭さを捨てずに、もっと深く、もっと安心して攻められる方向へ寄せた二代目だったと見てよいでしょう。

    足まわりの見直しこそ、この世代の本丸だった

    公式説明でも、エボIIはサスペンション変更とホイール変更が明言されています。

    やはりエボIIの改良本質は「出力アップ」ではなく「実戦でより速くするためのシャシー改良」です。

    現場で見えたハンドリング課題や安定性の要求を踏まえ、ラリーで踏み抜ける方向に車体を煮詰めている。

    エボIが“まず小さい器に全部詰めた初代”なら、エボIIはその器をラリーでさらに機能するよう調律し直した二代目でした。

    実戦ではすぐにエボIIへ切り替わっている

    1994年WRCでの扱いを見ると、エボIIの意味がかなりよく分かります。

    三菱の1994年WRCページによれば、開幕のモンテカルロと序盤のサファリは引き続きエボIベースで戦い、その後のアクロポリスからエボIIベース車へスイッチしています。

    しかもエボIIはそのアクロポリスでいきなり2位。さらにニュージーランドでは3位・4位を記録した。

    これはかなり大きくて、エボIIは“市販車が出たから一応競技でも使った”のではなく、出した瞬間からちゃんと主力として戦力化されたモデルだったわけです。

    しかもこの年、ランエボはWRCの主役へ近づいていく

    三菱公式の1994年WRCページでは、エボI/IIを用いたその年の戦いで、アクロポリス2位、ニュージーランド3位・4位といった結果が残されている。

    そして同じ年の車史ページでは、インドネシアラリーでランサーエボリューションが総合1位・3位を獲得したことも記載されている。

    つまりエボIIの時点で、ランエボは“将来強くなる車”ではなく、すでに国内外で前に出始めていた。

    エボIIは、その上昇カーブを明確にした二代目です。

    初代の勢いをそのままに安定させた

    ランサーエボリューションIIの強みを一言で言えば、

    初代エボの鋭さを残したまま、実戦でより速く、より安定して使える形に変えたことです。

    4G63は260PSへ強化。ホイールベースは延長。サスペンションとホイールも見直し。

    そしてWRCでは投入直後から2位、3位、4位。

    どれか一つの派手な新機構で勝負した車じゃない。

    エボIIは、現場で必要だった改善を全部まっすぐ積み上げたことで強くなった。そこがいかにもランエボらしいです。

    エボIIは「ちゃんと偉い」二代目だった

    シリーズものの二代目って、どうしても地味に見えやすい。

    でもエボIIは違う。こいつがやったのは、初代の勢いを偶然で終わらせず、ランエボという名前を「毎年ちゃんと速くなっていくラリー直結モデル」として定着させることでした。

    エボIが切り札なら、エボIIはその切り札を勝負でちゃんと使い切れる武器にした世代です。

    まとめ

    ランサーエボリューションIIを一言でいえば、

    最初から速かったエボを、実戦の答えでさらに勝てる形へ煮詰めた二代目です。

    エボIの武器をそのまま引き継ぎ、4G63を260PSへ上げ、ホイールベース延長と足まわり改良で、ラリーでより深く踏めるクルマへ進めた。

    だからエボIIは、単なる改良版じゃない。

    「ランエボは毎年ちゃんと進化する」という文法を、最初に作った二代目と言えるでしょう。

  • ランサーエボリューションIII – CE9A 【空力を得た初期の集大成】

    ランサーエボリューションIII – CE9A 【空力を得た初期の集大成】

    ランサーエボリューションIIIは、1995年2月に登場した三代目ランエボです。

    三菱自動車の公式車史では、このモデルについて「エンジン、駆動システム、足回りなどを徹底的に改良」したうえで、「空力性能向上」を狙ってフロントまわりの開口部拡大や大型リアスポイラーなどを採用したと説明しています。

    つまりエボIIIは、単なる出力アップ版ではなく、ラリーで勝つためにクルマ全体をさらに戦闘向けへ振った改良型でした。  

    エボIIまでで既に「武器は足りている」

    初代から二代目までで、ランエボの基本文法はもう見えていました。軽量・コンパクトなランサーのボディに、4G63ターボと4WDを載せ、実戦のデータを反映してどんどん煮詰めていく。

    その流れの中で1994年WRCでは、エボIIベース車がアクロポリスで2位、ニュージーランドで3位・4位と十分な戦闘力を見せています。

    だからエボIIIに求められたのは、ゼロから作り直すことではない。すでに速いランエボを、もっと勝ち切れる形へ仕上げることでした。  

    テーマは「「徹底改良」」

    三菱の車史ページでは、エボIIIはエンジン、駆動システム、足まわりを徹底的に改良したモデルだとされており、この点が非常に重要です。

    エボIIまでは実戦経験のフィードバック色が強かったけれど、エボIIIではそのフィードバックが一段進み、もうクルマ全体を勝利の方向へ最適化していく段階に入っています。

    シリーズ初期の三台で見ると、エボIIIはランエボが毎年強くなるラリー直結モデルとして本格的に輪郭を固めた世代と言っていいでしょう。

    ついに270PSへ到達した4G63

    心臓部は引き続き4G63型2.0L DOHCインタークーラーターボです。エボIIIでは最高出力は270PSまで引き上げられました。1994年時点のエボIIが260PSだったことから、また一段上積みされたことになります。

    さらに三菱のWRC 1996ページでも、エボIII競技車のスペックとして4G63、1,997cc、270ps、45.0kg-mが示されています。

    つまりエボIIIは、シリーズ初期の熟成の到達点として、4G63の力をかなり濃く引き出した世代でもありました。  

    空力を得たランサーエボリューション

    エボIIIを語るなら、馬力の話だけで終えると外します。

    この世代の象徴はやっぱり空力です。

    三菱公式は、冷却性能を高めるための大開口フロントバンパー、リフトを抑える大型リアスポイラーなどを採用して空力性能を向上させたと説明しています。この点はエボIIIを象徴しています。

    エボIやIIにももちろん競技の匂いはあったけれど、エボIIIになると見た目からして「もう完全にそのためのクルマ」になってくる。

    走りの必然が、そのまま外観の迫力へ出始めたのがこの世代でした。  

    エボIIIは、「ランエボ顔」がかなりはっきりしてくる

    シリーズの中でエボIIIが印象に残りやすいのは、性能だけじゃなく記号性が強いからです。

    大きな開口部、押し出しの強いフロント、そして大型リアスポイラー。これらは単なる演出ではなく、空力改善によるものです。

    つまりエボIIIは、ランエボがラリー由来の戦闘車であることを、見た目でもはっきり主張し始めた世代と言える。

    後のIV以降ほどメカニズムが複雑ではないのに、存在感はかなり濃い。そこがまたIIIの魅力です。  

    いつも通り実戦でもしっかり強い

    1995年WRCでは、シーズン前半にエボII、後半にエボIIIが投入されました。三菱の1995年WRCページと車史ページによれば、エボIIIはツール・ド・コルスで3位、ニュージーランドで5位、そしてオーストラリアでは1位と4位を獲得しています。

    つまりエボIIIは、見た目だけ濃くなったモデルではなく、投入初年度からきちんと勝利を持ち帰った。勝つための空力を与えられたエボが、実際に勝ったというのはかなり大きいです。  

    この年の勝利は三菱にとって重要だった

    1995年のオーストラリアでの勝利は、ランエボにとってただの一勝ではありません。

    三菱公式の1995年WRCページでは、この年のオーストラリアで篠塚建次郎がランサーエボリューションで優勝し、日本人初のWRC優勝ドライバーになったと説明している。

    これはランエボの速さを証明しただけでなく、三菱のラリー活動全体にとっても大きな節目でした。

    エボIIIは、シリーズ初の本格的な勝ちグルマ感をはっきり刻んだ世代とも言えます。  

    “速さの理由”が空力にまで及んだエボ

    ランサーエボリューションIIIの強みを一言で言えば、エボIIまでの強みであった4G63と4WDだけでなく、空力まで含めて勝つ理由を持ち始めたことです。  

    4G63は270PSへ到達。駆動システムも改良。足まわりも徹底見直し。

    さらにフロントもリアも、空力まで明確に競技寄り。

    そしてWRCでは実際に優勝。  

    エボIが「小さい器に全部詰めた切り札」、エボIIが「それを実戦向けに煮詰めた二代目」なら、エボIIIはその切り札を外から見ても中身から見ても本格的な戦闘車にした三代目です。  

    エボIIIは、初期ランエボの完成形的存在

    シリーズ全体で見れば、エボIVから先はプラットフォームも変わり、AYCなど新しい文法が入ってきます。

    だからこそエボIIIは、I〜IIIで積み上げてきた初期ランエボのひとまずの到達点として見やすい。4G63ターボ、コンパクトボディ、4WD、年ごとの徹底改良、そしてついに空力まで前に出てきます。

    このまとまり方がすごく綺麗なんです。エボIIIは、初期ランエボをもっともランエボらしい姿で締めた世代だと思います。

    まとめ

    ランサーエボリューションIIIを一言でいえば、

    速いだけでは足りないと知ったランエボが、空力まで使って勝ちに行った三代目です。  

    4G63は270PS。駆動も足も徹底改良。見た目は空力をまとってWRCではちゃんと勝った。  

    だからエボIIIは単なる三代目じゃない。

    「初期のランエボここに極まれり」と言いたくなるくらい、最初の三台の答えがきれいに揃った世代なのです。  

    次のエボIVから、ここから一気に文法が変わります。なんといってもAYCが初めて搭載されるエボですから…!

    (ランエボの記事毎回アツいな)