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  • S2000(AP1/AP2)の中古車ガイド【9000回転の代償を、あなたは受け入れられるか】

    9000回転まで回るNAエンジン、フロントミッドシップのFR、そして電動ソフトトップ。

    S2000は、ホンダが50周年記念として世に送り出した、ほぼすべてが専用設計のオープンスポーツカーです。1999年の登場から2009年の生産終了まで、1世代のみで駆け抜けました。

    中古相場は年々高騰しています。

    AP1初期でも250万円を切る個体はほぼなく、AP2になれば400万〜600万円台も珍しくありません。

    ただし、最も新しいAP2最終型でも2009年式。すべての個体が15年以上を経過しています。

    「高いのに古い」という現実を前提に、何を警戒し、何は安心してよいのかを整理していきます。

    まず知っておくべきこと──AP1とAP2は実質別の車

    外観はほとんど変わりませんが、中身はかなり違います。

    AP1は2.0LのF20Cエンジンを搭載し、レッドゾーンは9000回転から。AP2は2.2LのF22Cに変更され、レッドゾーンは8000回転台に下がりましたが、低中速トルクが増して街乗りでの扱いやすさが大幅に向上しています。

    スロットルもAP1のワイヤー式からAP2では電子制御(ドライブ・バイ・ワイヤ)に変更されています。AP1はレスポンスの鋭さと高回転の快感が唯一無二。AP2は日常の乗りやすさとトルク感が魅力です。どちらが「正しいS2000」かという話ではなく、求める体験がまったく違います。

    もうひとつ重要なのが、AP1の中でも年式による改良差が大きいことです。2003年10月のビッグマイナーチェンジ(通称04モデル、AP1後期)で、フロントアッパーアームの付け根の補強、ボディ剛性強化、サスペンションのセッティング変更、17インチ化など、かなり手が入っています。AP1初期・中期と後期では、足回りの耐久性やハンドリングの安定感に明確な差があります。

    型式にこだわりがなく「S2000が欲しい」という人には、AP2をすすめるのが現実的です。年式が新しいぶん故障リスクが低く、部品供給も最終モデル中心に残りやすいと考えられるからです。

    駆動系と足回り──この車固有の弱点が集中する場所

    リアのハブベアリングは、S2000で最も有名な消耗ポイントのひとつです。走行中に速度に比例してゴロゴロという唸り音が出始めたら、まず疑うべき場所です。発進時や低速で「コキン」「プーッ」という小さな音がするのも初期症状として知られています。

    厄介なのは、一定の速度域でしか症状が出ないこともあるということ。試乗で気づけないまま購入してしまうケースがあります。サーキット走行歴のある個体はとくに消耗が早く、ハブ本体まで痩せてしまっている場合は交換費用が跳ね上がります。4輪ハブ+ベアリングのセット交換で20万円前後を見ておく必要があります。

    クラッチ周りも、S2000ではトラブルが集中しやすい場所です。クラッチを踏んだときの違和感やギーギー音は、レリーズベアリングのガイドやフォークの偏摩耗が原因であることが多く、操作感の悪化に直結します。放置するとクラッチ操作そのものがスムーズにいかなくなり、運転の楽しさを損ないます。

    クラッチマスターシリンダーやスレーブシリンダーからのフルード漏れも定番です。フルードが減ってクラッチが切れなくなると、シフトが重くて入らないという症状に発展します。購入前にクラッチフルードの残量を目視で確認するだけでも、ひとつの判断材料になります。

    フロントアッパーアームの付け根(ボディ側ブラケット)の溶接剥がれは、とくにAP1前期・中期で注意が必要な弱点です。サーキット走行を繰り返した個体で発生しやすく、フロントホイールの隙間からライトで照らすと目視確認できます。AP1後期(04モデル)以降はこの部分に補強が入っていますが、前期・中期で未対策のまま流通している個体は少なくありません。

    リアナックルの破断も、ハードに走る個体では報告があります。ロアアーム取付部付近にクラックが入り、最悪の場合は走行不能になります。ホンダからもサーキット走行等に関連したリコールが出ています。幅広タイヤやハイグリップタイヤを履いている個体は、ナックルの状態を定期的に確認すべきです。

    プロペラシャフトのガタも、年式が進むにつれて出やすくなっています。アクセルのオン・オフでカチャカチャ、カタカタという異音が出る場合はこの部分が疑われます。ASSY交換になるため費用もそれなりにかかります。

    シフトフィールの悪化も、中古のS2000では非常に多い症状です。本来のカチッとしたショートストロークの操作感がグニャグニャになるのは、ミッション内部のベアリングやギアの摩耗が進んでいるサインです。ミッションのオーバーホールとなると費用は大きくなりますが、S2000の楽しさの根幹に関わる部分なので、試乗時に必ず確認してください。

    幌とトランク──オープンカーの宿命、しかしS2000固有の事情がある

    S2000のトランク雨漏りは、非常に多くのオーナーが経験しています。原因はひとつではなく、幌の排水を受けるレインレール(雨樋)の劣化、ドレンパイプの詰まり、サイドモール下のシール劣化、さらにはトランクとフェンダーの溶接部のコーキング割れなど、複数の経路から水が入ります。

    気づかないうちにトランクの底に水が溜まり、工具トレーを外したら水たまりだった、という話は珍しくありません。放置すればカビや腐食の原因になります。中古車を見るときは、トランク内の錆や水染みの痕跡を必ずチェックしてください。

    幌そのものの劣化も避けられません。AP1初期はリアウインドウがビニール製で、経年で曇りや割れが発生します。中期以降はガラス製に変更されましたが、幌の布地自体は紫外線や開閉の繰り返しで亀裂が入ります。幌交換は工賃込みで15万〜20万円程度が目安です。多くの中古車はすでに張り替え済みですが、張り替えの質にもばらつきがあるので、レインレールの取り付け精度やウェザーストリップの状態まで見ておきたいところです。

    幌のロック部分のボルトが緩んでいる個体も多く、80km/hあたりから風切り音が大きくなる症状が出ます。ピラー側のボルトはほぼ確実に緩んでいるという指摘もあり、内張りを剥がしての増し締めが必要になります。走行不能にはなりませんが、オープンカーとしての快適性に直結する部分です。

    テールランプ内部への浸水も、とくにAP1後期以降の個体で多い症状です。パッキンの劣化が原因で、交換すれば直りますが、放置するとランプ内に水が溜まって見た目にも印象が悪くなります。

    Type Vの価値と危うさ

    もうひとつ、グレードで見落としたくないのがType Vです。

    Type Vは世界初の車速応動可変ギアレシオステアリングであるVGSが搭載されています。が、

    VGSまわりは専用部品で構成されており、ショップ側でも純正部品廃盤を理由にVGS関連作業の受付を終了しているところが非常に多い。

    少なくとも『壊れても普通のAP1と同じ感覚で直せる』と思って買うグレードではありません。今すぐ全部がどうにもならないという話ではなくても、供給が細った専用機構を抱える以上、万一の際に修理・部品確保・代替対応のどれも軽く済まない可能性がある。

    Type Vは、珍しいから安いので狙うグレードではなく、VGSごと引き受ける覚悟がある人向けのグレードです。

    エンジンとボディ──逆にここは強い

    S2000のエンジンは、適切にオイル管理されていれば非常に頑丈です。F20C・F22Cともに、S2000専用に設計されたエンジンであり、基本的な耐久性は高く評価されています。20万km以上走った個体でも、きちんとメンテナンスされていればエンジン本体のトラブルは少ないという声は多くあります。

    ただし「頑丈」には条件があります。高回転型エンジンの常として、オイル管理が雑だとスラッジが溜まり、最悪エンジンブローに至ります。とくにAP1のF20Cはオイル消費が多めの傾向があり、ガソリンと同じくらいオイル代も見込んでおくべきです。逆に言えば、オイル管理さえしっかりしていれば、エンジンはこの車の最大の安心材料です。

    ボディ剛性も、S2000の強みです。「ハイXボーンフレーム構造」という専用設計のフロア構造により、オープンカーでありながらクローズドボディと同等以上の剛性を確保しています。骨格がしっかりしている個体であれば、各部をリフレッシュすることで新車に近い状態に戻すことも可能です。

    ミッション本体も、機能的な大トラブルは現状少ないとされています。ただし、フィラープラグの締め過ぎによるケース割れという人為的なトラブルを抱えた個体が存在するため、整備履歴の確認は重要です。

    ブレーキについても、純正の制動力自体は十分で、大きなトラブルは少ない部類です。ただしリアキャリパーの固着は定番症状として知られており、サイドブレーキを下ろしているのにブレーキが引きずっている感覚がある場合は要注意です。

    現車確認で見るべきポイント

    まず、走行距離だけで判断しないことが大前提です。S2000のような高回転型エンジンは、定期的に回してやらないと吹け上がりが悪くなります。走行距離が少ない個体でも、長期間エンジンを回していなかったためにコンディションが落ちていることは珍しくありません。逆に、10万km超でも定期的に回され、丁寧にメンテナンスされてきた個体のほうが状態が良いケースは多いのです。

    試乗では、速度域ごとの異音を注意深く聞いてください。とくにリアからの唸り音やゴロゴロ音はハブベアリング、アクセルオン・オフでのカチャカチャ音はプロペラシャフト、クラッチ操作時の違和感やギーギー音はレリーズ周りを疑います。

    エンジンルームでは、オイルフィラーキャップの裏側を確認してください。スラッジが黒くこびりついている個体は、過去のオイル管理が雑だった可能性が高いです。インテークホース(エアクリーナーからスロットルへ続くゴムのホース)に亀裂がないかも、目視で確認できるポイントです。蛇腹部分やバンド部分に入りやすいので注意してください。

    トランクは必ず開けて、底面の錆・水染み・カビ臭を確認します。テールランプ内部に水が溜まっていないかも、外から覗けばわかります。

    サーキット走行歴の有無は、できる限り確認したいところです。足回りを中心にダメージが蓄積している可能性が高く、目視や短時間の試乗では判断しきれない部分があります。整備記録簿が残っている個体を優先し、「どんな乗られ方をしてきたか」を推測できる材料を集めてください。

    カスタムされた個体を買う場合は、純正パーツが残されているかどうかも重要です。S2000は中古パーツの流通量が極端に少なく、新品純正部品も高額です。車検に通らないカスタムが施されていて純正パーツもない、という状態は非常に厄介です。

    結局、S2000は中古で買いなのか

    結論から言います。リフレッシュ費用込みで予算を組める人にとって、S2000は買いです。

    この車の弱点は多いです。ハブベアリング、クラッチ周り、幌、トランク雨漏り、足回りのブラケット、テールランプの浸水。どれも放置すれば印象を悪くするし、修理にはそれなりの費用がかかります。しかし、どの弱点も「原因が特定されていて、対処法が確立されている」という共通点があります。未知の故障に怯えるタイプの不安ではありません。

    そしてこの車の本質は、エンジンとボディの設計にあります。すべてが専用設計という贅沢。9000回転まで回るNAエンジンの高揚感。オープンにして走ったときの一体感。これらは他の何かで代替できるものではありません。しかも骨格がしっかりしているから、手を入れれば入れただけ応えてくれる。そういう車です。

    この車に手を出してよいのは、車両価格とは別にリフレッシュ費用として50万〜100万円程度の余裕を持てる人。そして、定期的なメンテナンスを「面倒」ではなく「付き合い」として楽しめる人です。信頼できるS2000に詳しいショップとの関係を持てるかどうかも、長く乗るうえでは重要になります。

    逆に、買ってそのまま乗りっぱなしにしたい人、突発的な修理費用に対応できない人、あるいは「高い買い物だから壊れないでほしい」という期待を持つ人には、正直すすめにくい車です。年式相応のケアが必要な車であることは間違いありません。

    S2000は、もう二度と生まれない種類の車です。ホンダがすべてを専用設計で作り、ATすら用意しなかった。その潔さが、今の相場に反映されています。

    弱点を知り、備え、それでも乗りたいと思えるなら──その気持ちは、裏切られないはずです。

    ゴソウダンブヒン

  • S2000 – AP1/AP2 【20世紀のホンダが放った、一代限りの特異点】

    S2000 – AP1/AP2 【20世紀のホンダが放った、一代限りの特異点】

    S2000は1998年のホンダ創立50周年を記念して企画され、1999年に発売されたFR・2シーター・オープンスポーツでした。

    ホンダ自身も、S2000を「50周年を記念して生まれた新世代オープンスポーツ」と位置づけており、しかも1999年の年表では「FRの2シーターオープンスポーツ」として明記しています。

    つまりS2000は、量販の流れの中で自然発生した車種ではなく、節目にホンダが自分たちのスポーツカー観を一気に注ぎ込んだ記念碑的モデルだったわけです。  

    ホンダらしくかなり偏っていた

    S2000の面白さは、最初からわかりやすく売れるスポーツカーを狙っていないところです。

    軽い、前後重量配分に優れる、オープンである、しかもFR。ホンダはFFの名手という印象が強いのに、50周年記念車でわざわざこのレイアウトを選んできた。

    さらに2024年のホンダ公式デザインインタビューでは、S2000について「シートとステアリングの中心を一直線上に置けた」と振り返られており、ドライバー中心のパッケージに相当こだわって仕上げてきています。

    S2000は、便利さや分かりやすい速さではなく、ドライバーがクルマの中心に座る感覚そのものから作られていました。  

    VTECの名機、F20C

    S2000をS2000たらしめている最大の要素は、やはりF20Cです。

    ホンダは1999年、この2.0L直列4気筒DOHC VTECを「自然吸気・量産2リッターとして125PS/Lという新基準」として発表しました。

    9,000rpmまで許容する高回転型で、量産自然吸気エンジンとして当時世界トップ級の比出力を持っています。

    ここがS2000の一番おかしいところで、普通ならオープンスポーツは気持ちよさ重視で少し穏やかにまとめるのに、ホンダはそこへ超高回転型のエンジンを積んできた。

    つまりS2000は、オープンカーとしての快適車ではなく、高回転NAエンジンを中心に全体を組んだスポーツカーだったんです。  

    速さより「回す意味」が前に出ている

    F20Cの魅力は、単に数字が高いことじゃありません。

    高回転まできっちり回して初めておいしい領域が出てくるあの性格そのものが、S2000の性格と直結しています。低速トルクで楽をさせる方向ではなく、ドライバーがきちんと使って、回して、つないで気持ちよくなる方向です。

    エンジンがクルマ全体の空気を決めている。だからS2000は、同時代の大排気量FRと比べて絶対的な余裕で勝負するクルマではなく、操る濃さで勝負するスポーツカーになった。

    S2000自体は孤高のモデルですが、この設計思想はどこかで見たことがありますね…

    シャシーもかなり本気仕様

    S2000がすごいのはエンジンだけじゃないです。

    ホンダ公式の説明でも、S2000は高剛性オープンボディと洗練されたシャシーを備えた「purest expression of Honda fun-to-drive DNA」とされています。

    さらに2000年には賛否はありますが可変ギアレシオステアリングのVGSまで導入されており、走りの質感や応答性をかなり真面目に詰めていたことはわかります。

    S2000は「50周年記念だから特別なエンジン積みました」で終わるクルマじゃない。ドライバーの操作と車体応答を高い解像度でつなぐために、全部がちゃんと組まれていた、パッケージとして非常に優秀な一台なのです。

    AP1は、S2000の原液だった

    初期のAP1は、まさにS2000の原液です。

    2.0LのF20C、9,000rpm級の世界、シャープな応答、そしてどこか緊張感すらあるキャラクター。後年のAP2と比べると、より尖っていて、より「エンジンを使わせる」方向が強い。

    創立50周年記念車として世に出た最初のS2000は、妥協なく高回転自然吸気スポーツの純度を突き詰めた一台だったと見ていいです。

    要するにAP1は、S2000がなぜ今も特別視されるのかを、一番ストレートに語る仕様です。  

    S2000は、尖りっぱなしでは終わらなかった

    2005年モデルでは、北米向けに2.2LのF22C1を積む仕様が登場します。

    ホンダ公式スペックでは、排気量は2,157ccへ拡大され、ストロークアップによって中速域の厚みが増しています。一方でレッドゾーンはやや下がります。

    ここがすごくS2000らしくて、単純にマイルド化したのではなく、高回転の魂を残したまま、使える領域を少し現実側へ寄せたんです。

    AP2はS2000を別物にした世代ではなく、孤高のスポーツカーを少しだけ熟成させた世代と見るのが自然です。  

    AP2の意味は、妥協ではなく“深く走れること”だった

    AP2はAP1ほど神格化されてはいませんが、非常に大事なモデルです。

    S2000はもともと純度が高すぎるクルマでした。そこへ2.2L化や細かな熟成を入れることで、ただ尖っただけの存在で終わらせず、より広い速度域と実用域でも気持ちよく走れるスポーツへ寄せていきました。

    これは単に性格を薄めたわけではなく、S2000という素材をもっと深く味わえるようにした改良だったと考えます。

    孤高ではあるけど、孤立はしていない。そこがAP2の良さです。  

    北米のCRで、ホンダは最後にもう一度本気を見せた

    みなさんはS2000 CRという仕様をご存知でしょうか。

    ホンダは北米にて2007年、S2000 CRをClub Racerの名の通り、より高いサーキット性能を狙った仕様として発表しました。

    公式発表では、ボディ剛性の強化、約40kgの軽量化、専用サスペンション、専用フロントスポイラーとリアスポイラー、さらに電動ソフトトップの代わりに着脱式アルミハードトップまで与えられている。

    これはもう、オープンスポーツの派生というより、S2000という素材を限界まで競技寄りに振った最終回答です。

    ホンダが最後に「こいつはまだまだ本気で走れるぞ」と示したのがCRでした。

    すべて「純度」に振り切れている

    S2000の強みを一言で言えば、

    スポーツカーとしての純度が異常に高いことです。

    FR。2シーター。オープン。高回転NA。

    ショートストロークの官能、回し切る快感。

    そして何よりこれがホンダから出た。

    この組み合わせがもう特殊すぎる。同時代を見渡しても、S2000みたいにホンダがFRの純血スポーツを本気で作るとこうなるをここまで鮮明に見せたクルマはありません。

    だからS2000はスペック比較だけでは測りにくいのです。

    クルマとして、何を気持ちよさの中心に置くかが、異様なまでにはっきりしているんです。  

    孤高のモデル「S2000」

    S2000は一代限りのモデルとなっていますが、この理由は明確です。

    ホンダの他のスポーツカー群とも少し文法が違うからです。

    NSXみたいな技術の旗艦でもない。Type RみたいなFF最前線でもない。ビートみたいな軽スポーツの延長でもない。

    S2000は、記念碑として生まれたFRオープンに、量産自然吸気高回転エンジンの異常な執念を載せたクルマでした。

    しかも後継もほぼ現れなかった。だからS2000は名車の中でも、ホンダが一度だけきれいに置いていった特異点みたいな存在なんだと思います。  

    最後も、やっぱり孤高のままだった

    2009年、ホンダは欧州向けにS2000 Ultimate Editionを発表し、S2000の生産終了を告げました。公式でもこれを「award winning sports car」の最終モデルと表現している。

    つまりS2000は、何かへ受け継がれて薄まるのではなく、最後までS2000のままで終わった。これもまた、このクルマらしいです。

    広げすぎず、媚びすぎず、最後まで独立したまま閉じた。だから今も、S2000だけはちょっと別の温度で語られ続ける。  

    まとめ

    S2000を現実として、孤高のまま生まれ、孤高のまま終わったホンダの純血FRスポーツです。

    便利さでも万能さでもなく、ドライバーが回して、操って、気持ちよくなることを中心に置いていました

    S2000は何かの系譜に則った車種ではありません。

    しかし、その血統からは確かに、シビックやインテグラ、BeatからNSXまで、ホンダの思想の全てを感じ取ることができるのです。